中深煎り(フルシティロースト前後)のコーヒー豆は、「しっかりとしたビタースイートなコク」と「とろっとした濃厚な甘み」が最大の魅力です。酸味は影を潜め、心地よい苦みと芳醇な香りが口いっぱいに広がります。
中深煎りのドリップで最も避けるべきは、「トゲのある嫌な苦み」や「タバコのような煙臭さ、渋み」を抽出してしまうことです。豆の成分が非常に溶け出しやすい状態になっているため、浅煎りとは真逆の「低温で優しく、じっくりと 濃厚なエキスを搾り取る」アプローチが正解になります。
極上のビタースイートを引き出す、中深煎り専用のドリッププロファイルを開設します。

1.中深煎り専用の基本レシピ(1杯分)
粉の量を少し贅沢に使い、抽出量を抑えることで、雑味が出る前にドリップを終わらせるのがプロの鉄則です。
・粉の量:16g 〜 17g いつより少し多めに使うことで、濃厚なボディ(コク)を作ります。
・抽出湯量:200g(200ml) 約12倍の比率。後半の薄くて渋いお湯はあえて落としません。
・お湯の温度:83℃ 〜 85℃ 最重要。 86℃以上だと苦みがトゲトゲしくなります。低めの温度で苦みを「丸く」します。
・挽き目:中粗挽き ザラメ糖くらい。少し粗めにすることで、お湯の通りを良くし、余計な雑味の抽出を防ぎます。
・ドリッパー:ハリオV60または 三つ穴(カリタなど) 太く、ゆっくりお湯を落とせる環境が理想です。

2. 濃厚な甘みを搾り取る3投レシピ
トータル2分30秒〜3分。中深煎りは「点滴」のように優しく注ぎ、後半はスッと引く緩急がポイントです。
【40g注ぐ】 中心に優しくポタポタとお湯を乗せるように注ぎます。ガスが非常に多いため、ハンバーグのようにふっくらと大きく膨らみます。この膨らみを壊さないよう、じっくり45秒間待ちます。ここでコーヒーの濃厚なオイル分と甘みの成分を限界まで呼び起こします。
【+80g(累計120gまで)】 細い糸のようなお湯で、中心に小さな円を描きながらゆっくり注ぎます。ペーパーの壁側までお湯を広げすぎないのがコツです。サーバーにぽたぽたと落ちる液体が、まるでチョコレートシロップのように濃く、ツヤがある状態をキープします。
【+80g(累計200gまで)】 最後は2投目より少しだけ太めのお湯で、水位を保つように優しく注ぎきります。 【※超重要】 目標の200gがサーバーに落ちたら、ドリッパー内にお湯がたっぷり残っていても、迷わずすぐにドリッパーを外してください。 最後に残った白い泡(アク)を1滴でも落とさないことが、クリアで甘い後味を作る最大の秘訣です。

★★中深煎りを化けさせる「大人の仕上げ」★★
① 「バイパス(お湯割り)」という選択肢
もし、上記の方法で淹れて「ちょっと濃厚すぎるな」「もう少しスッキリ飲みたいな」と感じたときは、挽き目や温度を変えるのではなく、「淹れ上がったコーヒーに、ポットの残り湯(85℃)を10〜20mlだけ後から足して薄める」という方法を試してみてください。
抽出の後ろを端折って、綺麗な残り湯で濃度を調整することで、雑味が一切ない驚くほど上品で滑らかなマイルドコーヒー(アメリカンとは違う、リッチな質感)になります。
② 質感(マウスフィール)を楽しむ
中深煎りは、少し温度が下がってから(60℃前後)が第2の飲み頃です。熱々 のときには隠れていた「チョコレートのようなとろっとした甘み」と「持続する心地よい余韻」が顔を出します。ぜひ、ゆっくり時間をかけて味わってみてください。
Indonesia BALI ARABICA 神山 AAAなどを中深煎り(フルシティ)に仕上げた豆をこの方法で淹れると、トゲのない柔らかな苦みの中に、ナッツの香ばしさと黒糖のような深い甘みが綺麗に溶け込み、ミルクを入れても負けない素晴らしい1杯になります!
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